十代、要は成長期の頃うまくいってた食生活をそのまま続けていると例外なく太ってくる。
成長期は体を成長させるという大事業にエネルギーが持っていかれているからだ。
いくら食べても体を成長させている限り太らない。なんでもかんでも筋肉と骨になっていく。もちろん動かないまま食べていれば太る。動いててもそれ以上に食べていれば太ることもできる。
さてその成長期の十代が終わった後、二十代三十代になっても十代の頃と同じような食生活をしているとどうなるか。当然のように栄養超過になる。食べ過ぎになる。同じ量を食べていると。
体が必要とするエネルギー量が落ちるからだ。これは体が完成してもう成長のためにエネルギーを必要としなくなるからだ。成長に必要なエネルギーと維持するだけのエネルギーは明らかに後者の方が少ない。
摂っている食事が変わらなかったとしても、いや、変わらないからこそ太るのである。
人間はそこで選択をする必要がある。
十代の頃と同じような食生活を続けて太るか?
成長期が終わったことを認めて食事量を絞り、新たな食生活を組み立て直して体型をスマートにするか?
この二択になる。
十代の頃に身に着けた食生活はなかなか強固である。
だが慣れ親しんだ習慣を組み替え直すという挑戦ができればこれから先の人生でも大きな武器になるだろう。
白紙のところに初めての習慣を書き込むのと、既にある習慣を修正するのはだいぶ異なる体験である。
前者は大抵の人間が体験して当たり前のように身につくが、後者は意思と分析に基づいて行う理性のもたらすものである。
十代になんとなく身についたままの習慣だけで誤魔化し続けるか、自分の意思で自分を律していくことができるか。
食生活はその最初の試金石と言っていいだろう。